女ゾロ6〜ごほうび〜

 くあ、と大あくびをひとつ。
 鍛錬後、シャワーを浴びたばかりなのだろう。石鹸の匂いがふわふわと漂っている。
 サンジはうとうとと眠りかけている彼女の元へ、飲み物を手に軽やかな足取りで向かう。


「ゾ〜ロ〜。冷たいお茶、用意したよォv」


 おやつもあるよ、と蕩けそうな笑顔で言うと、ゾロは閉じかけていた瞼を上げ、「ん」と小さく頷いて目を擦った。
 その幼いしぐさにときめきつつ、グラスと皿を載せた盆を差し出す。
 半分寝惚けているのか、ゾロは素直に受け取り、ありがと、と礼まで告げた。


「今日はね、和風スイーツにしてみたんだ。ゾロの好きな抹茶のレアチーズ。お茶も、前の島で仕入れた緑茶を淹れたんだよ〜」


 ナミさんロビンちゃんにも好評だったぜ、と自慢げに言う。
 ゾロはサンジの説明に「へえ」とだけ答え、さっそくフォークを手に取った。
 ひとくち頬張ったとたん、ゾロの表情が解ける。
 その表情だけで、おやつをゾロ仕様にしたかいがあったと、サンジは思った。
 本当は、ナミからオレンジタルトのリクエストがあったのだが、お茶を仕入れたばかりだからと明日にしてもらったのだ。


 ナミもロビンも、とても大好きで大切なのだけれど。
 サンジが何よりも愛おしく想うのは、大口で豪快にケーキを頬張る、目の前の女剣士なのだった。


 サンジはしゃがみ込み、三口でケーキを食べ終え、ストローを取り出してグラスに直接口を付けて茶を飲む彼女をじっと見つめた。
 女扱いをされることを嫌う彼女は、外見こそ疑いようもなく女、それも極上クラスなのだが、やることなすこと豪快で男勝りだ。
 最初こそ、今までに出会ってきたどの女性ともタイプの違う彼女に戸惑ったサンジだったが、彼女への想いを自覚してからは、そんな彼女のしぐさのひとつひとつさえが可愛らしく見えるようになっていた。
 こうして、おやつを最後にゾロのところへ運んで、可愛い彼女を独り占めにできるこの瞬間が、サンジにとって何より貴重な時間だった。


「……何見てんだよ」


 さすがに居心地が悪くなったのか、グラスの中の氷まで食べ終えてしまったゾロが、むっとした表情でサンジを睨む。
 サンジはへらりと笑った。


「別に、何でもないよ。美味かった?」
「あたしが好きだって知ってて作ったくせに、訊くのかよ」
「だって、」


 空になった皿とグラスを盆に戻し、立ち上がりながら、サンジは呆れたようなゾロに言う。


「ゾロのために作ったんだもん。美味しいって、言ってほしいよ」


 にっこりと微笑むサンジに、ゾロは赤くなって俯いた。
 ゾロの言うとおり、訊かなくたって、判ってる。
 ゾロの好きなものを、ゾロの好きな味に合わせて作った、ゾロのためだけのおやつなのだ。
 くちに含んだときの彼女の表情を見れば、言葉にするまでもなく、満足してもらえたのだと判る。
 だけど、たまにはゾロの口から聞きたい、というのも本音だ。


「ね、ゾロ。そーやって照れてんのも、可愛いけどさ。ゾロのためのおやつのごほうび、ちょうだい?」


 たった一言だけでいいんだよ? と首を傾げて俯くゾロを覗き込めば、ううう、と唸ってますます顔を俯けてしまう。


「ねェ、ゾ〜ロ。ゾロちゃん。ゾロ姫?」


「〜〜〜〜っっるせぇえ!!」


 しつこく名を呼んで顔を覗き込むサンジに、とうとう切れたゾロががばっと顔を上げた。
 ガチン、と硬い音とともに、走った鋭い痛み。
 口内にじわりと広がる鉄の味。
 目の前には、耳まで真っ赤に染まった、美女のアップ。
 ゾロは呆然としているサンジを突き飛ばし、すくっと立ち上がる。
 バタバタと走り去っていく愛しの女剣士の後ろ姿を、サンジはただ見送った。


 数秒後。 
 ゾロに文字どおり口を塞がれたのだと気づき、釣られて赤くなったサンジを、おやつのおかわりを要求に来たルフィが見つけ、不思議そうに首を傾げていた。



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久しぶりのSSS。女ゾロ。ちょい長めですが。
おやつの話、どうもワンパな気がするのは、多分、最遊記外伝の捲金のせいだな…。
ちゅうが下手なゾロたんは、女でも男でも萌えますvv

toubaikan * 女ゾロSSS * 23:45 * - * - * pookmark

女ゾロ5(4のその後?)

酒で釣ったら、簡単に釣れた。


ゾロは本当に上機嫌だった。
可愛いな、と鼻の下を伸ばしつつ、にこにこしている彼女を見ていたサンジだったが、ナミに肘をつつかれてハッとした。
そうだ。
単に酒を飲みに行くのではない。
これからがサンジの仕事なのだ。
先を進むナミから離れ、ゾロの後ろに回る。回れ右をして帰ろうとした彼女を、すぐに押しとどめられるようにだ。


ごめん、ゾロ。
でもナミさんには逆らえねェよ。それは、お前だってだろう?
ま、俺自身もナミさんのお考えには賛成なんだけどよ。


サンジは心の中で、ゾロへの謝罪だか言い訳だかを繰り返していた。
明らかに酒を取り扱ってはいなさそうな店が立ち並ぶ通りへ向かっているのに、ゾロは気づかない。
自覚のない奇跡的方向音痴っぷりが、サンジたちに味方した。
だがさすがに、ナミが立ち止まった店の前で、ゾロの顔から笑みが消えた。


「……おい。何だ、ここは」


女性とは思えない、ごく低音の恫喝に、サンジが身を強張らせる。
しかしナミは動じた様子もなく、けろっと答えた。


「ランジェリーショップよ。見たら判るでしょ」
「っんなことを訊いてんじゃねェ!! あたしはこんなとこに用はねェぞ!」


ゾロは憤慨し、くるりと踵を返す。
背後のサンジにぶつかりそうになり、どけ、とその身体を押し遣ろうとする。
サンジは慌てて、ゾロの手を掴んだ。


「待って、ゾロ。あのさ、俺もさ、その……こういうの、着けた方がいいと思――」
「変態エロコックの意見なんざ聞いてねェよ! 手ェ離せ、酒が出ねェんなら、あたしは船に帰る!!」
「あんたひとりで帰れるわけないでしょ。サンジ君、離しちゃ駄目よ。そのまま、連れて来て」


ナミに命じられ、サンジはゾロに心の中で何度も謝りながら、彼女の手を引いてナミに続く。


「てめェクソコック! 魔女の手先に成り下がりやがって! 覚えてろよ!!」


―――ああ、俺だってできるのならお前だけの下僕にでも何でもなってやりてェよ。


想像したとおりの恨みのこもった目で睨まれ、サンジは泣きたくなった。
サンジがナミの言いなりなのはいつものことで、成り下がるも成り上がるもないのだが、騙されたことへの怒りで頭がいっぱいのゾロと、愛しい想い人に嫌われたと嘆くサンジは、そのことには気づいていなかった。
ナミはそんなふたりのやり取りなど全く気にも留めず、ゾロに似合いそうな下着をすでにチェックし始めていた。


さらにその後、店員にサイズを測られる際にまたゾロが大騒ぎして、ついにはナミのゲンコツを食らう羽目になるのだった。



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ランジェリーショップでの話が、中途半端。
ぎゃんぎゃん喚くゾロ、を書きたかった。
女ゾロの話では、サンジさんはヘタレ一直線(?)ですね〜。

toubaikan * 女ゾロSSS * 23:40 * - * - * pookmark

女ゾロ4(ある日のメリー号キッチンにて)

「緊急事態だわ、サンジ君」


キッチンのドアを開けるなりナミがいつになく真剣な表情で言う。
サンジは戸惑いつつももはや条件反射で愛想笑いを浮かべる。


「どうしたの、ナミさん? 嵐でも来そう?」
「明日、どこでも良いから島が見えたら寄るわ。……ったく、あのバカ」


心底呆れ果てた、と言うように呟くのは、おそらくはこの船の剣士のことだ。
何があったのかと問えば、ナミは溜め息をつき、


「あいつってば、包帯の上からサラシ巻いてたのよ」


サラシ。
耳慣れぬ単語に、サンジは首を傾げた。


「え、でも包帯はしてるんだよね?」
「そのサラシで、ぎゅうぎゅう締め付けてるから、傷が開いちゃったのよっ」


ナミの故郷であるココヤシ村で、全治二年と診断された大傷のことだろう。
本人は「もう治った」などと言って、平然として見えるから、彼女が大怪我人だということを周りもついつい忘れそうになる。
それが、着替えのときに血が滲んでいるのをナミが気づいたということらしい。
新しい包帯と、今後のためにブラを買わなくちゃ、そう拳を固め言うナミに、サンジが赤くなる。
ブラって。ナミさん。
ナミは、きっと顔を上げてサンジを睨んだ。


「あのバカはね、サンジ君。推定Fカップ以上あんのよ」
「え」
「見えないでしょ?」


思わず頷いてから、サンジは慌てて両手を振った。
ゾロの胸ばかり見ている変態だと思われたらたまらない。
確かに、女性の、特に気になる相手の胸につい目が行ってしまうのは、男の悲しい性なのだけど。
しかしサンジの否定を、ナミは「めんどくさいからそれはいいのよ」と一蹴した。


「……つまりね。常にサラシを巻いて締め付けて、胸を潰してるってことなのよ」
「ええええっっ!」
「そんなの形が悪くなるし、苦しくなるんじゃないのって言ったんだけど。じゃあどうやったら小さくなるんだ、なんて言い出すのよ。刀を扱うのに、邪魔なんですって」
「……そんな、もったいねェ……」
「そうよね、そう思うわよね!」


無意識に漏れた呟きに、ナミが勢い込んで同意を求めてくる。
そして、にっこりと笑って、


「と・言うわけで、サンジ君。島に着いたらランジェリーショップにゾロを連れてくから。ゾロが逃げ出さないように、あんた、しっかり捕まえといてね♪」


 


女性二人と、お買い物。
しかもどちらも極上の美女で。ひとりは、想い人。
それだけ聞けば、両手に花の、男としては夢のような状況なのだけど。
嫌がって暴れるゾロを捕まえておくのは、かなり骨が折れそうで。
それ以上に、ゾロから恨みがましい目を向けられるのは、想像するだけで胸が痛む。
それでも力なく、サンジは答えるしかなかった。


「はいナミさん、喜んで……」



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グランドラインどころか、ローグタウン以前のお話。
ナミさんの、ゾロにブラを着けさせよう計画。
他愛無いお話でした。

toubaikan * 女ゾロSSS * 23:24 * - * - * pookmark

女ゾロ3(サンジside)

「聞いたかよ? 海賊狩りの話!」
「ああ、女なんだろ? やったら強ェんだってな。どんなゴリラ女だっつーんだよ!」
「なァサンジ、お前ェはどう思うよ?」


ティータイムとディナータイムの合間の、わずかな休憩時間。
新聞を手に笑い合っていたコック仲間に話を振られ、サンジはくるりと巻いた特徴的な眉尻を上げた。


「何が?」
「だぁから、海賊狩りのゾロって奴だよ! ほら、また記事になってる」


新聞を広げて指差してみせるのに、あァ、と頷く。
最近世間を賑わせている、謎の美女だ。
刀を三本も使い、異様なまでの強さを誇る彼女は、女性の身でありながら東海一の剣士とまで言われている。
賞金首の海賊を次々に倒しているところから、最近では海賊狩り、などという二つ名が付けられたらしい。
ちなみに、実際に美女と言っているのはサンジだけだが、サンジは己の勘に自信があった。


「孤高の女剣士ってヤツだろ。きっと凛々しくも美しい方なんだろうぜ。ああ、是非とも一度お目にかかってみてェ……!」


サンジは芝居じみたオーバーアクションで片手を胸に、片手を空へと差し伸べ、うっとりとそう言う。タバコの煙まで器用にハート型にして見せるサンジに、仲間たちは呆れたように笑った。


「また始まったよ、サンジの悪い癖」
「ホンット好きだよなァ、てめェ」
「うるせェな。いいだろ、夢見るくれェ。どうせ彼女に会える機会なんざ、ねェんだからよ」


からかう口調の大男に蹴りを入れつつ、サンジはもうひとりの手から新聞を奪った。
記事に添えられたずいぶんと粒子の粗い写真では、肝心な女剣士の顔も判別できない。
黒いバンダナのようなものを頭に巻き、腰には三本の刀。刀というのは、ずいぶんと重量のあるものだと聞く。それを三本も扱っている割に、その身体は意外に細身だ。
どんなレディだろうと、サンジは思う。
たったひとり、荒くれ男どもを相手に戦う女剣士。
ここは海に浮かぶレストラン・バラティエ。
確かに、彼女が現れる可能性は低い。が、ゼロではないとも思うのだ。


本当に、いつか一目でも会うことができたなら。


まるで恋をしているかのようなふわふわと浮き立つ気持ちに、サンジは記事の上のレディを指先で撫で、楽しげに笑った。



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海に出て名を挙げだしたゾロたんと、その存在を知るサンジさん。
てゆーか、続いてるっぽくなってますが、
実は順不同で思いついたものからUPしてます。
旅に出る直前のゾロたんとサガとかも書きたいのです。



toubaikan * 女ゾロSSS * 00:36 * - * - * pookmark

女ゾロ2

くいなが死んだ。
それは、あまりにも突然すぎる事故だった。


周りの子供や大人がすすり泣く中、ゾロはじっと俯き、握り締めたちいさな己の拳を見つめていた。
幼馴染みのサガが、そんなゾロを気遣わしげに見ていることにも、気づかなかった。
くいなと『約束』を交わしたのは、ほんの数日前のことだ。
どちらが先に大剣豪の称号を得るか。勝負をしようと。
それは、必ずどちらかが大剣豪になるのだという誓いでもあった。
なのに。
くいなは、世界に飛び出す前に、もっともっと遠いところへと旅立ってしまったのだった。


葬儀も済み、誰もがひととおり落ち着いてきた頃。
ゾロは、久しぶりに道場へ来ていた。
道場は、もうずっと閉まったままだった。だからゾロは、空き地でひとり修行を続けていた。
だが今日、ゾロはひとつの思いを胸に道場を訪ねた。
果たしてそこには、道場の師範でくいなの父でもあるコウシロウが、じっと座り込んでいた。ゾロへと向けられている背は、すっかり小さくなってしまったように思える。
ゾロを振り返らないまま、コウシロウは徐に口を開いた。


「ゾロ。……人間て言うのは、何て脆いものなんだろうね」


ただただ静かなコウシロウの声を聞いているうち、ゾロは涙があふれ出すのを感じた。
くいなの死を報されてから、初めて流す涙だった。
ゾロは、嗚咽を噛み殺しながら、短刀を抜いた。震える手を押さえつつ、刃を頭頂部で括った髪の根元に当てる。


ざくり。


その音に驚いたのか、コウシロウが初めてゾロを振り返る。
切り落とした己の髪の束を握り締め、ざんばらになった頭のゾロを見止め、コウシロウのメガネの奥の目が見開かれる。


「先生。くいなの刀、あたしにくれ」
「……くいなの、刀を?」
「あたしが、その刀で――くいなの意志を連れて、必ず世界一の剣豪になる。あいつと約束したんだ。あたしと、あいつのどっちかが、世界一になるんだって――だから――」


しゃくり上げながら言うゾロの言葉を、黙って聞いていたコウシロウは、やがて音もなく立ち上がった。


「こちらへいらっしゃい、ゾロ。……髪を切ってあげよう」


 


ゾロの髪を整えてやりながら、コウシロウは、ずいぶんと思い切ったね、と苦笑した。
ゾロは涙を流しながら、コウシロウの答えを待っていた。
髪を切ったのは、勢いではない。
女であることを捨てる。剣士の道を進むと決めたときから、ゾロにはその覚悟があった。


「……本当はね、ゾロ。私は、キミとくいながいずれ結婚して、この道場を継いでくれないかと、そんなふうに思っていたんだよ」
「先生」
「くいなの刀は、キミに譲ろう。きっと、くいなもそう望んでいる――」
「……ありがとう、先生」


ゾロは目を閉じ、そしてまた、涙を零した。



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シリアスで失礼。
女の子ゾロは、男の子ゾロよりもちょっとしっかりしてるかも。
女の子は男の子よりも成長早いしね。
ゾロたんの髪は、ポニテで毛先が肩より下辺りの長さです。
それを、思い切ってばっさり。
先生の夢は、くいな君が生きてても叶わなかったでしょう…
ふたりとも、海に出ちゃうからね(苦笑)

toubaikan * 女ゾロSSS * 00:10 * - * - * pookmark

女ゾロ1

「まァた、泣いてんのか。泣き虫ゾロ」


膝を抱えているちいさな少女に、くいなが呆れたように声をかける。


「うっ、うるせェ!」


ぐいぐいと腕で涙を乱暴に拭い、ゾロは真っ赤な目で年上の少年を睨みつけた。
くいなは、溜め息をついてゾロの隣に腰を下ろした。
ゾロが泣くときはいつでも、悔し泣きだ。しかもほぼくいなに剣で負けたときで、でも今日は試合をしてはいない。


「……父さんに、何か言われたのか」


ぽつりと漏らされたくいなの呟きに、ゾロのおおきな目に再び涙が溢れた。


「だって、……先生、が」
「ん」
「……女のあたしじゃ、世界一になれないって。今だってくいなに全然勝てねェのに、大人になったらサガとか、他の奴らにも勝てなくなるって……。好きで、女なわけじゃねェのにっ……!」


しゃくり上げるゾロに、くいなは「そっか」と頷いた。
勝気な少女の、無造作にひとつに束ねられた髪を、撫でてやりたいと思った。
けれど、今の彼女にそうすれば、余計に彼女のプライドを傷つけてしまうだろう。
声を殺して泣く負けず嫌いのちいさなライバルが泣き止むまで、くいなはただ黙って傍にいた。
誰より一番、彼女に『女』と突きつけてきたのは、くいなだった。
「女のくせに」「女なんだから」、そんなふうに言うたびに、ゾロは悔しそうにくいなを睨みつけてきた。
でも、本当はくいなは、彼女の力を認めていた。
多分、父より、他の誰よりも、彼女の強さを知っていた。


「それで? ゾロは、父さんに言われたからって、諦めるんだ」
「! んなわけねェだろっ!!」


ゾロが落ち着いてきたところで、そう言ってやると、ゾロは弾かれたようにくいなを見上げた。
毅い瞳。
だから、バカにしたような言い方をしていても、くいなは彼女をライバルと呼ぶのだ。


「だったら、いいじゃん。野望は変わらないんだろ? 誰に何を言われようと」


ゾロが、おおきな目を見開いてくいなを見つめた。


「おれと、お前と。目指す先は一緒だ」
「……世界一の、大剣豪」
「そうだ。競争しようぜ。どっちが先に、野望を叶えるか」
「くいな」


くいなは笑って、手を差し出した。
ちいさな手が、躊躇いがちにそれを握り締める。
ぐっと握った手に力を込めると、ゾロは泣き濡れた面に、ようやく笑みを浮かべた。


「「約束だ!」」


いつか、その日が来るまで。


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いかがでしょうか。
ワンピ部屋のSS『無茶を言う』のシリーズ的な。
くいな君、一人称『あたし』なゾロたんより違和感あるかも(苦笑)
でも、女ゾロの妄想は、ここから始まったのです…
toubaikan * 女ゾロSSS * 00:10 * - * - * pookmark
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